イギリスの6ペンスコインは、ブライダルラッキーコインとしても知られていますが、日本ではまだ馴染みがあまりないようです。

実はマザーグースの歌にもある、「サムシングフォー」(Something Four)に続く歌詞でも有名です。

Something old, something new, something borrowed, something blue, and a sixpence in her shoe.

花嫁の左の靴に6ペンスコインを入れておくと、裕福な家庭に恵まれる、というおまじないです。これは花嫁に限ったことではなく、もともと銀貨にはラッキーチャームとしての言い伝えがあります(特に、銀貨には金運があるとされていました)。
そのため、銀貨であれば種類は問わなかったのですが、当時のいちばん額面の小さな6ペンスが好んで使用されてきました。

その後、銀貨は銀の含有量が少なくなり、1946年の6ペンスコインを最後に、ついに6ペンスコインは銀貨ではなくなってしまいました。そして1967年を最後に、6ペンスコインは造幣されなくなりました(10進法が採用されたため)。

しかし、銀貨は非常に高価なことから、白銅貨の6ペンスコインがその代用としてそのまま使用されてきた歴史があります。
比較的近年に発行されたものを、在位期間(発行年)と肖像、コインの銀含有量を簡単にまとめたものを掲載しておきます。「.925銀」は、純度92.5%のいわゆる純銀です。

1714年〜1727年 ジョージ一世(.925銀)
1727年〜1760年 ジョージ二世(.925銀)
1760年〜1820年 ジョージ三世(.925銀)
1820年〜1830年 ジョージ四世(.925銀)
1830年〜1837年 ウィリアム四世(.925銀)
1837年〜1901年 ビクトリア(.925銀)
1902年〜1910年 エドワード七世(.925銀)
1910年〜1936年 ジョージ五世(.925銀:1911-1920)
1910年〜1936年 ジョージ五世(.500銀:1920-1936)
1936年 エドワード八世(コイン未発行)
1937年〜1952年 ジョージ六世(.500銀:1937-1946)
1937年〜1952年 ジョージ六世(白銅貨:1947-1952)
1953年〜1967年 エリザベス二世(白銅貨)

1920年に銀本位が.925から.500になっているのは、1914年から1920年にかけて行われた第一次世界大戦が影響しています。また、1947年から白銅貨に切り替わり、硬貨に銀を使用しなくなったのも1945年に終結した第二次世界大戦の影響によるものです。
戦争が、いかに国家財政に影響を及ぼしているのか、こういった側面からも伺い知ることが出来ます。


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